PACLIC2025で発表を行いました

M2の伊勢野が,ベトナムのハノイで2023年12月5日(金)~7日(日)に開催されたPacific Asia Conference on Language, Information and Computation (PACLIC 39)で発表を行いました.

基本情報

PACLICは,言語・情報・計算に関するアジア太平洋地域の国際会議です.今年は,ベトナムのVietnam Institute for Advanced Study in Mathematics (VIASM)で開催されました.全体で76件の論文が採択され,採択率は48.1%でした.

発表について

伊勢野は,1日目のオーラルセッションにて,大規模言語モデルのTheory of Mind(ToM)と対話性能の関係性を調査した研究発表を行いました.相関分析の結果から,対話システム開発において重要視するべきToMを明らかにしました.

Haruhisa Iseno, Atsumoto Ohashi, Tetsuji Ogawa, Shinnosuke Takamichi, Ryuichiro Higashinaka

Analysis of the Correlation Between Theory of Mind and Dialogue Ability to Identify Essential ToM for Dialogue Systems Proceedings Article Forthcoming

In: Proceedings of the 39th Pacific Asia Conference on Language, Information and Computation, Forthcoming.

BibTeX

基調講演

  • The Meaning of Jabberwock: Semantic Activation in the Processing of Unfamiliar Words (Marco Marelli, University of Milano-Bicocca)
    自分が知らない単語(未知語)であっても,人間がその意味をある程度直観的に推測できる理由についての講演でした.未知語であっても,語の一部(sub-lexical unit)から意味的な手がかりを得て,既知語に近い意味を思い浮かべられるという話が印象的でした.また,言語モデルも同様に sub-lexical unit に基づいて意味を推定しており,人間の語彙処理と非常に似た振る舞いを示すという話も興味深かったです.
  • From Sensory Modalities to Embodied Cognition: How to Reconcile Linguistic Studies with Large Language Models (Chu-Ren Huang, The Hong Kong Polytechnic University)
    この講演は,LLM の性能の限界を手がかりに,言語とは何かという根本的な問いを捉え直す内容でした.言語の核心は,複数の脳が互いの内部状態を知らなくても会話できることであり,実際の言語使用は multi-brain model(複数脳モデル)であるため,単一モデルでの入出力の学習では本質に届かないという主張が印象的でした.
  • Spontaneous Speech: Challenges and Opportunities for Speech Technology and for Models of Perception and Production (Mark Liberman, University of Pennsylvania)
    この講演では,人間同士の自然な対話で頻繁に見られる spontaneities の重要性が強調されました.spontaneities とは,「あー」「えー」といったフィラー,言い直し,同じ語の繰り返しなど,発話内容そのものには直接関わらない現象を指します.人間の会話の10〜30%がこれらの要素で構成されており,これらは単なるミスや雑音ではなく,自然な会話に欠かせない特徴だと指摘されました.しかし現状,多くの研究ではこれらが十分に扱われておらず,今後は spontaneities を適切に考慮した研究が必要であると述べられました.

気になった発表

  • The Relationship Between Dialogue Acts and Idea Generation in Human–Human Collaborative Story Writing (Natsumi Ezure and Michimasa Inaba, The University of Electro-Communications)
    人間同士が協力して物語を創作するタスクにおいて,どのようなDialogue Act (DA)が人間のアイデアの創出を手助けするかを分析した研究です.この研究では,相手の提案を受け入れたり肯定的なフィードバックを返すことが,相手のアイデア提案数を増加させることが示されました.

おわりに

今回の参加では,多くの研究者と今後のTheory of Mind研究に関する議論を交わし,自身の研究テーマに対する新たな視点や今後の課題を得ることができました.これらの知見は今後の研究を進める上で大きな助けとなると感じています.

会議の合間にはハノイの名所を訪れたり,バインミーやフォーなど現地の食文化に触れることもできました.料理はどれも美味しく,非常に良い思い出となりました.