PACLIC2023で発表を行いました

D1の山下が,香港で2023年12月2日(土)~5日(火)に開催されたPacific Asia Conference on Language, Information and Computation (PACLIC 37)で発表を行いました.PACLICは,言語・情報・計算に関するアジア太平洋地域の国際会議です.

発表について

山下はRealPersonaChat (RPC) コーパスについて発表しました.このコーパスは,話者の実際の性格特性やペルソナを含んだもので,14Kの日本語対話からなり,話者情報を含むコーパスとしては最大規模のものです.発表では,発話に含まれるペルソナ情報の頻度を既存のコーパスと比較した結果や,性格特性のスコアの高低に関連する言語表現を抽出した結果を報告しました.質疑応答では,ペルソナの収集方法や既存コーパスとの違いに関する質問を受けました.

Sanae Yamashita, Koji Inoue, Ao Guo, Shota Mochizuki, Tatsuya Kawahara, Ryuichiro Higashinaka

RealPersonaChat: A Realistic Persona Chat Corpus with Interlocutors’ Own Personalities Proceedings Article

In: Proceedings of the 37th Pacific Asia Conference on Language, Information and Computation, 2023.

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発表件数は,口頭発表が60件程度,ポスター発表が30件程度,Keynoteが2件,Invited talkが2件でした.Keynoteでは,言語における満足化(satisficing; satisfyとsufficeの混成語.どんな用途にも適用できる完璧な解決策を選択するのではなく,限定された用途で十分な解決策を選択すること)と,音声からグロス(逐次訳)を生成する取り組みの話を聞くことができました.Invited talkでは,人間とAIのコラボレーションと,ロボットが引き起こす対話破綻について,ヒューマンインタフェースや産業界における実用化の観点で話を聞くことができました.

PACLIC2023では現地参加とオンライン参加が選択でき,現地の参加者数は80人程度でした.アジアの会議なので,日本人の参加者は2〜3割と多かったです.

参加してみて

RPCが日本語のコーパスだったこともあり,質疑応答では日本人の方からたくさんの質問をいただきました.発表と質疑応答を通してこのコーパスの良さが伝わったのではないかと思います.

会議の合間には香港文化博物館と沙田競馬場へ観光に行きました.香港文化博物館では,伝統的なオペラ,近代の映像・音楽作品,広告アートなどの常設展示を無料で見学することができました.写真を撮ることはできませんでしたが,映画のポスターやレコードのジャケットの構図に日本と似たものを多く見つけ,親近感が湧きました.沙田競馬場は,観客の年齢層がやや高めでしたが,日本の競馬場とあまり変わらない雰囲気でした.ゴール前では多くの観客が本命の馬や騎手を応援していたり,売店では翌週の香港国際競走に出走するスターホースのぬいぐるみが売られていたりして,賑わいがありました.

来年度のPACLICの開催時期,場所についてはまだ未定とのことです.