D1の大橋です.シンガポールで2023年12月8日〜10日に開催された The 2023 Conference on Empirical Methods in Natural Language Processing (EMNLP 2023) に参加し,発表を行いました.本記事では,EMNLP 2023の概要と,自身の発表について紹介します.
基本情報
EMNLPは,自然言語処理分野におけるトップ国際会議の一つです.
今年は,シンガポール南端のリゾート島 Resorts World Sentosa 内のコンベンションセンター Resorts World Convention Centre で開催されました.


今年の投稿数は 4,909 件と過去最多で,昨年の投稿数(4,190件)から+719件と大幅増加でした.Main conference及び,findingsも含めた場合の採択率は,それぞれ 21.3% と 42.9% でした.研究分野の統計としては,応用研究(NLP Applications)が最多で,時点でテーマトラックの大規模言語モデル(LLMs and the Future of NLP)とのことで,LLMを含む自然言語処理の応用研究の勢いが表れていました.

Keynotes
合計で3名の方からの基調講演がありました:
- Jong Park (Korea Advanced Institute of Science and Technology)
Human-Centric Natural Language Processing
言語的なマイノリティ(聴覚障害者,精神障害者など)のためのNLP研究について,最近の成果を多数紹介.特に,手話コーパスの構築など低資源ドメインの資源整備を推進している点が印象的でした. - Emily Mower Provost (University of Michigan)
From Speech to Emotion to Mood: Mental Health Modeling in Real-World Environments
音声感情認識による双極性障害の自動診断システムに関する講演.「実環境適用における課題(堅牢性,汎用性)に直面」から「継続学習活用による日常音声からの高精度な感情認識を実現」までの長期にわたる取組みが紹介されました. - Christopher D. Manning (Stanford University)
Academic NLP research in the Age of LLMs: Nothing but blue skies!
「大企業が圧倒的研究規模で幅を利かせるのは昔から同じ.今 LLM 時代は始まったばかりであり,取り組むべき課題・魅力的な機会は沢山ある.大学研究グループのような小規模チームでも画期的な研究はできる.」ということを研究事例を紹介しつつ指南していただきました.
自身の発表
私は,3日目のポスターセッションにて,以下の研究を発表しました.タスク指向型対話システムの応答文を修正するコンポーネント Generative Post-processing Networks を強化学習によって最適化することで,タスク達成能力の向上を実現した研究です.
Enhancing Task-oriented Dialogue Systems with Generative Post-processing Networks Proceedings Article
In: The 2023 Conference on Empirical Methods in Natural Language Processing (EMNLP2023), pp. 3815–3828, Singapore, 2023.


参加してみて
EMNLP 2023は自分が今まで参加した学会で最も規模が大きく,参加者数や発表数の多さ,研究分野の多様さ,スポンサーの多さなどに圧倒されました.加えて沢山の新しい出会いもあり,特に,Welcome Reception や Social Event 等では,普段からよく論文で目にするPhD学生たちと現地で交流でき,非常に良い経験となりました.ぜひまた参加したいです.

