M2の大橋です.韓国の慶州で2022年10月12日(水)~15日(土)に開催されたCOLING2022に参加し,発表を行いました.また,16日(日)と17日(月)に開催されたワークショップとチュートリアルにも参加しました.
今回は仁川国際空港を利用し,COLINGの会場がある慶州まではソウルから鉄道を利用して移動しました.




International Conference on Computational Linguistics(COLING)は,2年に一度開催される,計算言語学に関する国際会議です.
今年は現地&リモートのハイブリッド開催でした.




ハイブリッド開催のため,口頭発表とポスター発表の両方にそれぞれ現地セッション(in-person session)とリモートセッション(remote session)が設けられていました.
口頭発表では,in-person sessionとremote sessionはどちらも3~7つのセッションが並列になっており,各時間帯にそれぞれの部屋に移動する形式でした.なおremote sessionでは,zoomでの発表の様子が会場のスクリーンに投影されました.
また,今年も昨年と同様にUnderlineが用いられていました.全セッションのスケジュールや発表者の事前録画ビデオ,リモート参加者用のzoomのリンク等すべてUnderline上にまとめられており大変便利でした.


ポスターセッションは,エキシビションホールで90分間行われました.自分は「タスク指向型対話システムにおいて,ユーザが理解しやすいシステム発話の生成を,強化学習によって実現する手法」をポスター発表しました.
Adaptive Natural Language Generation for Task-oriented Dialogue via Reinforcement Learning Proceedings Article
In: Proceedings of the 29th International Conference on Computational Linguistics (COLING), pp. 242–252, Gyeongju, Republic of Korea, 2022.
ポスター会場は賑わっていて,自分の発表場所はポスター会場の端の方だったにもかかわらず継続的に多くの人が聞きに来てくださいました.


また,この日,東中先生は対話システムの口頭発表セッションで座長をされていました.


3日目の後半にはexcursionとbanquetがありました.Excursionは慶州の遺跡のバスツアーで,2つあるコースのうちどちらか好きな方を選択するものでした.私はお寺が中心のコースを選択したので,日本人としては見慣れた景色も多かったですが,ツアーガイドが各遺跡にまつわる歴史やポイントを紹介してくれたのがよかったです.
Excursion後のbanquetは,HICO近くのHiltonホテルのレストランで開催されました.






クロージングでは最初に辻井潤一先生が,Aravind Joshi先生,Makoto Nagao先生,Petr Sgall先生,Martin Kay先生の業績を交えながら,CL/NLPの全体像や歴史に関する講演をされました.
その後,以下の四つの研究がbest paperとして発表されました:
- Grand Challenge Naver paper
Improving Low-resource RRG Parsing with Cross-lingual Self-training,
Kilian Evang, Laura Kallmeyer, Jakub Waszczuk, Kilu von Prince, Tatiana Bladier and Simon Petitjean - Grand Challenge KISTI paper
Adapting Pre-trained Language Models to African Languages via Multilingual Adaptive Fine-Tuning,
Jesujoba O. Alabi, David Ifeoluwa Adelani, Marius Mosbach and Dietrich Klakow - Best Long paper
Fast and Accurate End-to-End Span-based Semantic Role Labeling as Word-based Graph Parsing,
Shilin Zhou, Qingrong Xia, Zhenghua Li, Yu Zhang, Yu Hong and Min Zhang - Best Short paper
Investigating the Performance of Transformer-Based NLI Models on Presuppositional Inferences,
Jad Kabbara and Jackie Chi Kit Cheung
また,COLING2022の統計情報も公開されました.登録者数は,現地参加が1,075名,リモート参加が335名でした.オープニングで公開された情報も加えると,原稿については,投稿数が2,253件,研究トピックとしては”Information Extraction”, “Natural Language Generation”, “Sentiment Analysis”が比較的多かったようです.
なお,COLING2024の開催地は未定とのことでした.


参加してみて
英語でのポスター発表は初めてだったため発表直前は非常に緊張しましたが,90分間何とかやり取りできました.また,ポスターの説明が一通り終わった後,聞いてくれた人数名と研究分野について雑談(言語生成や強化学習をどのように使っているのか・今後使う予定なのかをお互いに共有する等)できたのが印象に残っています.
一方発表中,自分の説明が伝わってなさそうだったり,相手の質問が正確に聞き取れなかったりする場面も多々あり,英語を勉強しなくてはいけないと感じました.
COLINGのように大きな会議に参加したのは初めてで,会場やexcursion,banquet等の規模の大きさに驚きました.
また,先日参加したSIGDIAL(対話に関する国際会議)とは異なり,CL/NLPのあらゆる分野の研究が聴講でき,今まで知る機会のなかった分野(例えば,Neuro-Symbolic for NLPなど)に興味を持つきっかけになりました.
乾研,岡崎研,二宮研のメンバーを含む,多くの日本人NLP研究者や学生さんと知り合うことができ,現地参加できて非常に良かったと思います.



